1. 1か月単位の変形労働時間制
① 1ヶ月単位の変形労働時間制の意義
1ヶ月単位の変形労働時間制は、1ヶ月以内の期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり、特定の週に40時間を超えたりすることが可能になる制度です(労働基準法第32条の2)。
② 変形労働時間制の導入状況
就業に関する協約(以下、「就業協約」という。)第6条第1項に基づき、変形期間を四週間(28日)とする1か月単位の変形労働時間制が導入されております。
③ 所定労働時間
就業協約第6条第2項によれば、変形期間における所定労働時間は1週平均を39.5 時間と定められていることから4週間で 158 時間となります。「【別紙1】週及び変形期間の労働時間の基本的な考え方」もご覧ください。
④ 通年の変形期間の運用
就業協約第6条第1項に基づき、毎年4月1日が起算日となっております。このことから、毎年暦に関わらず「【別紙2】変形期間の設定」のとおり変形期間が設定されます。ただし、うるう年においては、毎年2月 29 日が挿入されます。
2. 法定時間外労働
① 法定時間外労働の意義
下記に行われる労働を法定時間労働といいます。下記に当てはまらない労働を法定時間外労働といいます。法定時間外労働を命じることは原則として労働基準法違反にあたります。
a. 一日においては8時間以内に行う労働(労働基準法第32条第2項)
b. 一週においては 40 時間以内に行う労働(労働基準法第32条第1項)
② 法定時間外労働の時間計算の原則
a. 1週40時間を越える労働時間の計算方法
1週において40時間を越えた労働時間の計算に当たっては、一日8時間を越えた法定時間外労働の時間は除外して計算します。すなわち一日8時間を越えない労働時間の一週あたりの累計にて計算します。
b. 1週の期間
1週の始期と終期について法による定めはありません。従って、就業規則等にて決めることができますが、特に定めがない場合は日曜日を始期とし、土曜日を終期とすることとされています(昭和63年1月1日基発1号)。
c. 1週40時間を超えた労働時間の算入時期
1週において40時間を越えた労働時間については、1週の累計でみることから、実務的な方法として当該週の最終労働日が属する月にて計算することが適当とされています。
③ 1ヶ月単位の変形労働時間制における法定時間外労働
変形労働時間制を採用している場合、上記の法定時間外労働の時間計算の原則に合致しない場合が出てきます。この場合の運用は以下のとおりとなっております(昭和63年1月1日基発1号)。
a. 変形期間における法定時間労働の総枠
変形期間における法定労働時間は以下の式により計算することになります。
40×変形期間の暦日数/7
「【別紙1】週及び変形期間の労働時間の基本的な考え方」もご覧ください。
b. 変形期間における法定時間外労働となる時間 1ヶ月単位の変形労働時間制を採用した場合に法定時間外労働となるのは、次の時間となります。 (ア) 1日については、就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える時間を定めた日はその時間を、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間 (イ) 1週間については、就業規則その他これに準ずるものにより40時間を超える時間を定めた週はその時間を、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間((ア)で法定外となる時間を除く。) (ウ) 変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間((ア)又は(イ)で法定時間外労働となる時間を除く。) ※(イ)において1週間についてみる際に変形期間の初日(賃金計算期間の初日)と週の初日(原則として日曜)が必ず一致するとは限りません。その場合の処理方法は、下記のいずれかの方法をとることとされています(労働省労働基準局編『労働基準法上 労働法コンメンタール 3』財団法人労務行政研究所 2000)。 i. 1週間については暦週でみることとし、変形期間をまたがる週についてはそれぞれ分けて、40 時間×端日数÷7日でみることが原則である。 ii. 週の起算日を変形期間の初日と定め、1週間についてはそれにより、変形期間の最後の端日数について 40 時間×端日数÷7日でみることも差し支えない。
3. 時間外労働及び休日労働に関する協定(いわゆる36協定) ① 36協定の意義 上記のとおり使用者が法定時間外労働を命じることは違法行為となります。ただし、労働基準法第36条に定められた時間外労働及び休日労働に関する協定(以下、「36協定」という。)を労働者の代表と締結することによりその協定の範囲に限り処罰の対象から除外される(免罰効果)こととなり、法定時間外労働を命じても労働基準法違反に問われることはなくなります。 ② 勤務を命じることができる法定時間外労働 36協定においては、1日、1ヵ月、1年における限度時間を定める必要があります。 また、この場合の各期間の限度時間の対象となる労働については次のとおりとなります。
このことから、例えば36協定において 1 日の限度時間を4時間としている場合には、1 日の実労働時間が12時間を超えた場合には労働基準法違反に問われることとなります。また、例えば36協定において1ヶ月の限度時間を40時間としている場合には、1日8時間を超えた法定時間外労働の時間の1ヶ月の累計と一週あたり40時間を超えた法定時間外労働の時間の1ヶ月の累計を足した時間数が40時間を超えた場合には、労働基準法違反に問われることになります。
③ 変形労働時間制と36協定
本学においては4週間を変形期間とする1ヵ月単位の変形労働時間制が導入されているため、36協定で設定する期間の限度時間との混同に気をつける必要があります。
詳細は「【別紙4】法定時間外労働の計算と36協定について(2020年4月における例)」をご覧ください。
4. その他の注意点
① 法定時間外労働になるか否かは実労働時間にて算定を行います。
② 実労働時間は文字通り、「実際に労働した時間」を指すため、祝日や有給休暇等で労働をしなかった場合に実労働時間は発生しません。これにより例えば、1週のうち法定休日以外に1日が休日の場合は、残りの5日の実労働時間の累計が40時間を超えていなければ週単位での法定外時間外労働は発生しないことになります。
③ 法定時間外労働のうち労働基準法違反に問われない時間はその時点で有効な36協定の定めによります。
④ 法定時間労働であっても割増賃金の対象にすることは禁止されていません。このため所定時間外労働かつ法定労働時間の場合に、就業規則等に従い割増賃金が払われることはあり得ます。
⑤ 労働条件の変化や個別具体的な状況により、あてはまらないケースもあります。
⑥ 実際の労働時間の算定に疑問がありましたら、まずは直属の労務管理者へ相談してください。なお、その内容に不明瞭な点がございましたら当組合へご相談いただければと思います。